2015年11月11日水曜日

LTE-U(LAA) vs 11ac(11ax)

"LTE-U(LAA) vs 11ac(11ax)"とは、何を意味するかというと、5GHz帯の争奪です。誰と誰が5GHz帯を争奪しているかというと、携帯電話関連会社とよりオープンな環境構築を望む無線LAN関連の会社の争奪です。


LTE-Uはクアルコムなどが提唱する呼称ですが、3GPPなどではLAA(Licensed Assisted Access using LTE)と呼ばれています。これは、無線LAN向けに割り当てがされていた5150MHz~5350MHz、5470MHz~5725MHzの周波数にLTEの信号を割り当て、携帯のキャリア会社が自由にかつ、複数のキャリア会社で共有し、今後ますます増加する通信データ量に対応しよう、という動きです(LTE-U Forum LTE-U技術レポート)。

また、LTE-UとLAAの大きな違いはLBT(Listen Before Takl)機能があるかないかです。LTE-Uは3GPPの規格策定など待たずに進んでしまえっ、という勢いでLTE-Uフォーラム(http://www.lteuforum.org/index.html)なども結成され、Verizonが発起人ですが、他には、アルカテルルーセント、エリクソン、LG、クアルコム、サムソンなどが加盟しています。

実際にLTE-Uは北米で下りのみの通信で、2016年中旬から商用化されそうです。Verizon , T-mobile , AT&T の大手三社が推進しているようです。

日本では、この5GHz帯の代わりにまずは3.5GHz帯のサービスを始める動きがあります。3.5GHzと5GHzは誤解を恐れずにいうと似たような伝搬特性を持っています。インドアでの用途向きです。3.5GHzは、プラチナバンドとよばれる700MHz~900MHzと特性も異なりますし、1.7GHz帯・2GHz帯とも異なります。またデバイスも別途必要になります。こういったことを考えるとまた3.5GHz帯で日本の無線通信業界がガラパゴス化する可能性は非常に高いです。残念なことです。

こうことが起こるのは、周波数の割り当ての方法に違いがあるかもしれません。海外ではオークション制が主流で携帯会社がとてつもない高額な金額を払い、自分のビジネスをするリソースを確保します。商用施設を建設するゼネコンが土地を購入することに似ています。しかし日本は総務省から割り当てられます。携帯会社は電波利用料を総務省に払いますが、オークションの額に比べると月とスッポンです(このような背景もあり日本の携帯会社は恵まれすぎています)。

こういった背景により、海外の携帯会社はもちろん高いお金を払って周波数を拡張するよりも、オープンな5GHzを使用する方が圧倒的に有利となります。

そのため、今後は、LTE-U(LAA)が大きく拡大していく可能性が非常に高いと思われます。

実際、11acの商用機がリリースされ始め、2年ほどが経過していると思われますが、11acを採用しているデバイスはほぼ100%がスマートフォンです。

無線LANを搭載したデバイスは数々でてきていますが、ほとんどが2.4GHzのみの搭載です。プリンター、プロジェクター(一部11ac?)、カーナビ、エアコン?、・・・。

そういう意味では、5GHzの11acの無線LANが必要なのは『スマートフォン』です。これは、5GHz帯は11acの無線LANより、携帯会社がリソースを管理できるLTE-U(LAA)の方が間違いなく好都合です。

11acを拡張した11axの規格も検討されていますが、徒労に終わるかもしれません。

携帯会社の資本力が勝るか、オープンな環境を好む数の力が勝つか。

長期的な流れとしては、オープンな環境の数が勝つと思いますが、11ax、LTE-U(LAA)あたりの時期ではどちらともいえないと考えます。


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