2010年12月29日水曜日

米国 AT&TのWiFiエリア拡充により見えるもの・・・

先日、米国第二位の通信キャリアAT&TがWiFiサービスの拡充を発表した。AT&Tと携帯電話の契約をしている者は無償でWiFiサービスが受けられ、このエリアがぐっと増えたということだ。

http://www.bloomberg.com/news/2010-12-28/at-t-to-expand-new-york-san-francisco-wi-fi-for-network-relief.html?cmpid=yhoo

AT&Tは、米国第1位のベライゾンワイヤレスと熾烈な競争を繰り広げており、ベライゾンワイアレスはAT&Tに先行して2010年12月1日にLTEサービスの開始をアナウンスしたばかりだ。

ここでAT&Tが意図する本サービス拡充の意図が今後を物語っているといえよう。
つまり、AT&TはWiFiのサービスでネットワーク信頼性向上を図っているのだ。新しいテクノロジではなく、WiFiサービスで、だ。

つまり、音声通信は既存のネットワーク、データ通信はLTEなどの高価な最先端テクノロジではなく、WiFiで十分ということだ。

そういう意味では、ウィルコムのPHS網で音声、これにWiFiを載せた「PHSスマートフォン」なんかを発売すると非常に売れるのかもしれない。まぁブランドの問題もありそうだが。確か台湾でもPHSサービスはされており、台湾メーカなどが「PHSスマートフォン」を開発し、日本に逆輸入してもいいのでは???と思う。

ウィルコムを買収されたソフトバンク関係者の皆さんTD-LTEもいいけど、こういうので少しマーケットを揺さぶってみてはいかがだろうか???

2010年12月27日月曜日

ロングタームHSPAエボリューション(long-term HSPA evolution)

先日ノキア・シーメンスが現行のHSPAサービスの発展系、ロングタームHSPAエボリューションの標準化を発表した。米国のt-mobileと共同とのことだ。

ご存知のように3GPP release7,8,9で規定されているHSPAエボリューション(HSPA+とも呼ばれる)をさらに発展させたものであり、この技術を使用すると650Mbpsまで理論的には実現できる。

これが実現すればさらに競争が激しくなることが予想される。

現在高速無線通信には大きく
・ LTE(3GPP系)
・ WiMAX(IEEE系)
・ 無線LAN(IEEE系)
とあるが、さらにこれらにロングタームHSPAエボリューションが加わることになる。

2013年の商用化を目指すということなので、この時点では、
・ LTE-advanced (1Gbps)
・ WiMAX-advanced(WiMAX2) (330Mbps) @高速移動時でも可
・ IEEE802.11ac (1Gbps)
・ LT-HSPA+ (650Mbps)
という規格が出揃うことになる(商用化されるかどうかは不明だが・・・)。

また。LT-HSPA+は現行の基地局の拡張で実現できる可能性が高く、ともなればかなりの競争力を持つことになる。

コストダウンではTD-LTEなどが中国ベンダが多いということで検討していたが、この動きががらりと変わることが予想されるできごとだ。

また、LT-HSPA+のテクノロジとしては、LTE-advancedのテクノロジが多く、なるほどOFDM方式で適用できればCDMA方式でも適用できわな・・・という技術が採用されている。

例をあげると、
・ マルチキャリア
・ キャリアアグリゲーション
・ 協調プロセッシング
・ MIMOの拡張
などである。

また、今後の勢力図なども結構変わってくる可能性がある。筆者の浅はかな予想としては、
・ LTE-advanced → NTTドコモ
・ WiMAX-advanced(WiMAX2) → KDDI(UQ)
・ IEEE802.11ac (1Gbps) → ???
・ LT-HSPA+ (650Mbps) → イーモバイル、ソフトバンク
などが採用し強みを生かすか?と思う。

また、無線LANのIEEE802.11acに関してはバッファローなどの機器メーカが恩恵をうけるのか?バッファローは現在フリースポットを推奨しており(http://www.freespot.com/)、今後も台風の目となる可能性はある。

コンテンツやサービスの問題においては、LT-HSPA+はレイテンシーが遅いという障害が付きまとう。いずれSAE(System Architecture evolution)のような遅延時間の短いものに移行していく可能性はあるが、現段階ではこれがネックとなりオンラインゲームのようなサービスには向かないといえる。

ドコモ、LTEサービス 「Xi」(クロッシィ)開始!!

いよいよ、クリスマスイブに「メリークロッシィ!」のかけ声でドコモのLTEサービスが開始された。まずは東京・大阪・名古屋に限定したサービスであるが、とにもかくにも次世代通信のサービス開始だ。

下り37.5Mbpsという速度で、これまでのHSDPA7.2Mbpsの約5倍の早さだ!

ドコモは以前2014年までに人口カバー率50%を目指すとうたっていたが、KDDIのアナウンスもあってか(KDDIは「2014年度末時点で、1.5GHz帯においては人口カバー率53.0%、LTE全体(1.5GHz帯 + 800MHz帯)においては人口カバー率96.5%」としている)、75%を目指したい、とうたいだしている。今後の普及に大いに期待したい。

新サービスが始まったものの、やはり最近はやれ光だ、やれ無線LANの11nだの高速通信に慣れた我々は37.5Mbpsごときではあまりひかれない。しかも、景気がよければいいが、この携帯産業を牽引してきた若者層は貧困にあえいでいる状況だ。

恐らくドコモが目指すのは新サービスによる新規顧客の開拓というよりは、LTEの技術そのものがもつ、周波数利用効率であろう。

周波数利用効率がよければ、少しの周波数で多くのユーザを取り込むことができ、キャリア会社としては収益性があがる。ドコモは加入者が多い反面、接続性向上のために設備投資をかなりする必要があり、また定額制を導入しているため、収益はあがらない、という構図でかなり苦しんでおり、これの解消にこのクロッシィが導入されたといっても過言ではない。

ちなみに欧米でも定額料金制はあるが、あまりに設備費がかさむため定額制の中止も検討されている。やはり、定額制は理にかなっていないサービスだったのだ。。。そのため、無線LANとのデュアルなどやはり携帯のトラフィックを下げる策が必要だ。

今後この周波数利用効率の高いサービスによって各キャリアの収益性がどの程度向上していくか、またこれを利用しどのように競合と戦っていくかもひとつ見物となるだろう。

2010年12月8日水曜日

WiMAXベンダの今と、今後のLTE勢力図

一見つながりのない、このタイトル、WiMAXとLTE。しかし将来的にはかなりお互いに影響を及ぼしあう。

最近WiMAXサービス事業者がぞくぞくとLTEへの鞍替えを表明している。ロシアのヨタ(Yota)、アメリカのクリアワイヤ(clearwire)などだ。しかし、日本が採用するLTE FDD方式ではなく(FDD方式とは上り回線と下り回線で異なる周波数を使用する)、LTE TDD方式だ(TDD方式とは、上り回線と下り回線が周波数が同じで時間的に区切って通信される方式)。
WiMAXはTDD方式であり、これがLTE TDD方式に似ていること、またWiMAXのデータレート21Mbpsでは、LTEのサービス開始後見劣りするということで次の世代に移ろうという、考えだ。 この移り先にLTEのTDD方式を考えているようだ。

また、ITUは既にLTEの次の世代のITU-Advancedの模索を始めており、候補として3GPP系のLTE-Advanced、IEEE系のWiMAX-Advancedが選定されている。
このWiMAX-AdvancedはTD-LTE-advancedとかなり近いものとなり、これによりWiMAXが消滅するという業界関係者は多い。

つまりLTEの時代(日本では第3.9世代、欧米では第4世代といわれる)にせよ、またその次のxx-advancedの時代にせよ、WiMAXはLTE系に吸収されるという格好だ。


ここで、TD-LTEのベンダをまとめておこう。ZTE・ Huawei・ Samsung・ ericsson・・・・そう、日本勢は全くでてこない。WiMAXと技術が似ているということで、WiMAXの基地局を開発していた企業が名をあげるはずだが、UQへ基地局を供給しているのはサムスンだ。日立、富士通なども提案はしていたはずなので、こういった企業が再度TD-LTE基地局にも名乗りをあげる可能性もゼロではないが、中国・韓国勢に勝てる体力は残っているか疑問だ。

つまり、近代通信技術のTDD化は、さらなる日本の情報通信産業の衰退をもたらす可能性を秘めているといえる。

だが、唯一TDDのシステムが日本に存在した。PHSだ。現在は次世代PHS、またの名をXGPという。サービスをしているのは、ウィルコムだ。ところがだ。このウィルコムは経営不振からソフトバンクに資本を注入され、現在はXGPの次の世代、XGP-Advancedとしてサービス開始を検討している。このXGP-Advancedこそ、TD-LTEのことである。つまり、PHSをもTD-LTEの外国産となってしまう。

つまり、日本の情報通信産業としては早急にTDD系のテクノロジの開発体制を整えるか、FDD方式が主要技術となるような活動をしていかなければ未来はない、ということになるだろう。

政治・経済・技術、中国勢の勢いが気になるところだ。

2010年12月6日月曜日

いよいよ、日本でも始まるLTEサービス!

いよいよ、今年のクリスマスイブ、NTTドコモがLTEサービスを開始する。サービス名はXi(クロッシィ)だ。どれだけ加入者数を、どれだけの期間で集められるか、今からわくわくする。

米国では、ベライゾン・ワイヤレスが先日12月1日にLTEサービスを開始させた。
韓国勢LG・パンテックのUSBドングルを使ってのスタートだ。米国では昨年9月にメトロPCSがLTEをサービスしているがこちらは帯域が狭くスピードがでないサービスのみとなるため、新世代のスピードを教授できるサービスはベライゾンが米国初となる。また、北欧でもテリアソネラがフィンランドでLTEをはじめた。

来年2011年は本格的にLTEサービスが導入され、いよいよグローバル情報革命のはじまりとなる。

日本ではこのLTEにて初めてグローバル規格の採用となるため、今後通信機器メーカが海外市場に出やすくなり、どういった経済効果が見込めるか、かなり興味深い。また、ローミングもしやすいため、キャリアのローミング料金も売り上げに貢献してくると考える。

グローバル市場はでかい。日本企業がどのようにインフラ、端末、チップセット、モジュールと海外企業に売り込んでいけるか、また協業していけるか、これにより日本経済も随分変わると考える。日本経済の一角を担う産業なので、是非ともがんばっていただきたい。また、今後は新たなデバイス(スマートフォーン?PC内臓?PDA?カーナビ?etcetc)もどんどん登場してくるだろう。
※ 一説ではベライゾンは来年のLTE対応のスマートフォーンをだすとのこと。

これまで製品をリリースしている各ベンダをざっと列挙してみよう。

「インフラ」
・ エリクソン(スウェーデン)
・ ノキアシーメンス(フィンランド・ドイツ)
・ モトローラ(アメリカ)
・ ZTE(中国)
・ Huawei(中国)
・ NEC
・ 富士通
・ サムソン(韓国)

「端末」
・ サムソン(韓国)
・ LG(韓国)
・ パンテック(韓国)
・ 富士通

「チップセット」
・ クアルコム(アメリカ)
・ ビシーム(アメリカ)
・ アルティア(イスラエル)
・ LG(韓国)

・ メディアテック(台湾)
・ DNFP(日本)
・ シーカンス(アメリカ)
・ STエリクソン(スイス)
・ ウェブサット(カナダ)
・ ルネサスエレクトロニクス(日本)

日本のメーカが少ないのが気になるところだ。

LTEは基本的にはデータ通信なので、キラーコンテンツなどは特に問題にならないが、今後LTEに絡めて新たなコンテンツ、サービスが出てくるかもしれない・・・。

コンテンツ関連の企業もウォッチしていきたい。