2011年3月12日土曜日

東京国際LTE会議2011Spring(2)

先日ブログで取り上げた東京国際LTE会議2011Springは昨日の地震で途中中止されたようです。

ほんと、あの地震はすごかったですね。まだまだ被害が拡大しそうですが、一刻も早い被害者の救済を心よりお祈り申し上げます。

情報通信の分野でもああいった非常事態にも役に立てる機能を盛り込んでいきたいものです。eCallやETWSなどは今回の地震・津波をきっかけにどんどん普及していくと思われます。

私にできることは募金とお祈りをすることくらいですが、本当に災害に遭われた方々が少しでも身体的・精神的な苦痛が和らぐことを切に願います。


http://volunteer.yahoo.co.jp/donation/detail/1630001/index.html

http://mixi.jp/release_info.pl?mode=item&id=1284

2011年3月10日木曜日

東京国際LTE会議2011Spring

明日3月11日、日経エレクトロニクス主催の『東京国際LTE会議Spring』というイベントが行われる。世界各国でLTEに関するイベントは行われているが、日本でも開催されているようだ。昨年にも日経エレクトロニクス主催の会議があったようでその2回目となるようだ。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/SEMINAR/20110204/189348/

日本エリクソンの藤岡氏、ITU-RへIMT-advancedの候補としてLTE-Advancedの仕様を提出しているが、そのドキュメントの表紙に名前が載っているドコモの中村武宏氏、クアルコムジャパンの山田CEOなど蒼蒼たるメンバーだ。

ここで講演を行う企業を列挙してみよう。
・エリクソンj
・NTTドコモ
・バークレイズ・キャピタル証券
・ローデシュワルツ
・YRP
・日本電気
・クアルコム
・アジレント・テクノロジー
だ。

なんと日本企業は、NTTドコモと日本電気のみ、という寂しさだ。日本企業の衰退を示しているのか、産業自体のグローバル化を表しているのか・・・。

ただひとつ明るい話題は次世代のLTE-Advancedは日本企業が牽引していくことになりそうだということだ。
ドコモの中村氏が仕様をまとめているため、やはりドコモ陣営には有利に働くであろう。より多くの特許技術を次世代通信規格に組み込み多くの特許料を稼ぐようになっていくことを陰ながら祈る。

http://www.3gpp.org/IMG/pdf/2009_10_3gpp_IMT.pdf
(LTE-Advancedの仕様をまとめ、ITUへ提出した資料)

また、LTE-AdvancedはLTEの拡張機能という位置づけに終わっている。今後さらなるデータ通信量が予想されているため、さらなる進化をするにはCDMA、OFDMに続くさらなる通信方式(modem部だけでなく他の技術革新ももちろん歓迎だろう)の開発が必要だ。こんな時代にこそさらなる研究投資をし、先手をとりたいところだ。通信方式の研究は、まずはシミュレーションベースで行われることになると考えるので、大企業に限らず、ベンチャー、個人、大学など様々なところがチャンスを得られるように、産業社会全体の変革も必要になるのかもしれない。


いずれにせよ、こういった勉強会を開き日本の業界水準の向上をするということは大変よいことだと思う。少々受講料が高いが積極的に活用していきたいし、他にもいろいろな勉強の機会を提供してくれればと願いところだ。

2011年3月9日水曜日

周波数争奪???そして、周波数オークション???

フジサンケイビジネスアイの記事で以下(点線より下)の周波数争奪の記事が載っていた。スマートフォンの普及で各社周波数が足りなくなってきているというのだ。

当初NTTドコモとKDDIは既に黄金の周波数帯800MHzの周波数をもっているために、再編での800MHzはソフトバンク、イーモバイルに割り当てられると考えられていた。しかし、昨今のスマートフォンで各社周波数がさらに必要となり、この800MHz帯の割り当ては全くの白紙となった。つまり、4社とのこの800MHz帯の周波数をとりにいく、というのだ。

そして、特筆すべきことはこの周波数の入札が1000億円を上限とするものの、初のオークション方式がとられることだ。


現在日本は借金大国だ。先日1000兆円の国債額が話題を呼び、GDPから考えると世界一の借金大国だ。国としてはのどから手がでるほど財源を確保したい。いろいろと候補はあるようだが、ここで取り上げている周波数は、確実に実現される、と噂されていた。そして、これがいよいよ現実のものとなるのだ。

これはキャリア各社の様相を大きく変える異なるだろう。今回は1000億円を上限のようだが、確実にそのストッパーはとりはずされる。キャリア各社にとっても、同じ設備投資で評判のいいネットワークを確保できるならば、多額のお金を払うことは拒まないだろう。というより、設備投資そのものが小額ですむかもしれない。また、外資も当然参入してくるし、日本勢も海外の周波数オークションというものに間接的にせよ参加していくことになるだろう。経営の振るわないキャリア会社はすぐに淘汰され、これらがグローバルの範囲で実施される。

まさに、このブログのタイトル通り、グローバル情報通信革命だ。

グローバルな革命には、
・ グローバル規格の必要性 → LTEでほぼ実現。
・ SIMロックの問題 → SIMロックフリーで実現。
・ 周波数の問題 → 周波数オークション(さらに自由化される必要があるが・・・)
が必要だと考えるが、さらなる前進が必要にせよ、3つの条件が日本でも整うことになる。


たとえば、ボーダフォンがいろいろな国で携帯サービスを実施するように今後は日本のキャリア会社もどんどん海外にでて、ローミングなどを通しシナジーをだしながら、利益を確保していく必要があるだろう。周波数は土地のように有限資源であるが、外からも解放を求めらるため、今後は外資の国内攻撃も大いにありうる。かつて電電公社であった日本の官僚電話産業が、心を開放しグローバルに展開し、日本をさらに豊かにしてくれることを願ってやまない。




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周波数の争奪、混線模様 ソフトバンク “優先席”消滅
フジサンケイ ビジネスアイ 3月9日(水)8時16分配信
 スマートフォン(高機能携帯電話)の急速な普及や、米アップルの「iPad」に代表される新たな多機能情報端末の登場などで見込まれる通信量の大幅な増加を背景に、限られた携帯向け通信帯域をより有効利用するための「周波数再編」の動きが本格化してきた。

 年内には、ビル陰や山間部でも通信が途切れにくい「プラチナバンド」と呼ばれる700~900メガヘルツ帯について、1000億円の上限を設定した初めての周波数の入札が実施される見通し。当初は携帯後発組のソフトバンクモバイルなどが優位とされてきたが、予想を超える通信量の伸びにNTTドコモやKDDIも入札する方針で、周波数獲得競争は混沌としている。

 ◆通信量増で2強参戦

 「入札条件は同じ状況」。年末にも実施される見込みのプラチナバンドの割り当て先選定について、総務省総合通信基盤局の担当者は全くの白紙だと強調する。

 NTTドコモとKDDIはすでに800メガヘルツのプラチナバンドを使用しているため、新たな割り当ては後発のソフトバンクとイー・モバイルが当確とみられていた。しかしスマートフォンなど新型携帯の急成長で市場環境が激変。総務省によると、携帯の通信量は、2020年までに現在の200倍に膨らむと見込まれており、携帯加入者数が多く、足元で通信量が急伸し始めているドコモとKDDIの上位2社も、入札を静観していられなくなった。

 一方、今回のプラチナバンドの割り当てでは、海外で導入されているオークションに準じる方式が初めて導入される。ただ諸外国の先行事例とは異なり、入札額には1000億円程度の上限が設けられた。

 周波数を取得した携帯電話事業者は、割り当て周波数の現在の利用者に対し、通常は10年程度かけて別な周波数に移動するところを、早急に立ち退いてもらうための費用を落札額として支払う。

 ◆価格並べば総合評価

 純粋なオークションとはいえないプラチナバンドの再配分方法は携帯各社が容認。ソフトバンクは欧米で対応端末が多い900メガヘルツ帯で第3世代(3G)携帯電話サービスと3.9Gといわれる高速データ通信サービス「LTE」の事業展開を要望している。700メガヘルツ帯が15年の割当見通しなのに対して、900メガヘルツ帯は12年と3年早いのも大きな魅力だ。

 ソフトバンクの孫正義社長は「公平性」を理由に、900メガヘルツ帯の割当を主張しており、仮に入札価格が上限の1000億円で並んだ場合、事業計画の優劣で事業者を選定することになる。

 だが上限設定によって、総務省の裁量余地が大きくなれば「オークション的な考え」は事実上反映されない懸念がある。有識者などが「ビューティーコンテストだ」と揶揄(やゆ)する“総合的評価”で決着しかねない。

 このため、総務省は「できるだけ数字で決められるように手続きを進めたい」(電波部)と、透明性を確保する考えだ。具体的には、サービス開始時期やエリア拡大計画、サービス料金など客観データの評価で事業者を選定することになる。

 総務省が透明性を重視したことは、ソフトバンクにとっては「もろ刃の剣」といえそうだ。基地局設置やサービス地域拡大など積極的な設備投資姿勢が大きな要素になるためだ。

 孫社長は昨年、総務省の専門家会合で「巨大企業が大きくなる一方だ」とオークション方式に反対。最近は「オークションを入れるなら、皆、周波数をいったん返上して平等にやるべきだ」と発言し、資金力に勝るドコモなどを強く牽制(けんせい)している。

 ドコモは「電波不足」を理由に700メガヘルツに応札する意向を示すなど携帯4社すべてが応札するのは確実で、ソフトバンクの“優先席”は事実上消滅した。

 700/900メガヘルツ帯の事業者選定は、年末に実施する予定だが、そのための手続きに法的根拠を与える電波法改正案は、まだ国会に提出されていない。携帯利用者にとっては通信品質の向上につながる周波数再編だが、その行方は大手携帯各社の勢力争いに、国会の混迷もからみ視界不良だ。(芳賀由明)

2011年3月6日日曜日

イーモバイルのスマホ戦略を考える

以前、KDDIおよびソフトバンクのスマホ戦略を本ブログで示した。
これが思いのほかアクセス数が多かったので、今回はイーモバイルの
スマホ戦略を考える。

結論から言うとイーモバイルのスマホ戦略は今後下り坂だと
考える。


イーモバイルは、現在300万契約数を超え、かなり好調に見える。
しかし、だ。

イーモバイルはデータ通信に活路を見出し、定額制、PCとの
セット販売、ポケットwifiなるルータで成功したキャリア会社だ。
現在もアップルと恵沢し、iPadの販売なども手がける。

また早い時期からHTCなどの新興企業の端末を採用したことも
奏功しているといえる。

しかし、これがLTEが開始されると様相が一変すると私は考える。

LTEは先日のバルセロナで行われたWMCでVoLTEなる音声通信を
発表されてはいるが基本はデータ通信を基本としたネットワーク
である。音声通信は現状の第三世代のネットワークを使用する
とされている。

そのため、イーモバイルのデータ通信に特化した事業戦略が
効果がなくなってくるのである。イーモバイルは現在、データ
カードのみではなく、
・ pocket wifi(ルータ)
・ 携帯電話
・ 通信モジュール内臓コンパクトPC
などの製品ラインナップをそろえ、かなり魅力的に映る。
http://emobile.jp/products/

個人的にはかなり興味を引く製品群、サービス内容(下り42Mbps
の高速通信も提供)だが、このあたりはドコモ、KDDI、ソフトバンク
ともに当然攻めてくるだろうから、悲しいかな以前のウィルコムと
同じ運命をたどることになるだろう、と私は予想する。
(既にイーアクセスの完全子会社になってはいるが・・・)



今後通信会社はトータルのサービスを要求され、携帯・ネットワーク
サービスの提供だけでは、存続が厳しくなってくる。

たとえば、
・ 顧客管理・営業支援をトータルで提供するサービス
・ 出版社・新聞社・映画会社と組み、電子コンテンツの配給用のネットワークに。
など他業種との協業がキーとなるのではなかろうか。


早い時期に身売りに近い形で他業種や外国オペレータへMVNOを
するのが、唯一生き残る道となるであろう。