2012年10月14日日曜日

ソフトバンクのスプリントネクステル買収検討からみるソフトバンクの凄さ!

2012年10月12日(金)、ソフトバンクの株価が暴落した。

米国3位で、業績が悪化し続けているキャリア会社、スプリントネクステルの買収検討報道による影響だ。

買収額は、1.5兆円とも2兆円とも言われ、この世界的金融収縮下、これだけの借金を抱え、また買収先企業の業績を考えれば、この株価の動きは、まっとうなものと言える。

ただ、これは現時点での結果だ。

最近、ソフトバンクの動きが激しい。数日前には、日本の第4位キャリア、イーアクセスの買収で、新聞紙上をにぎわせたばかりだった。これも、本ブログのタイトルにもなっているLTEが原因だ。しかも、LTEがグローバル規格である、ということが原因だ。

そう、ここでも、LTEグローバル情報通信革命が起こったわけだ。しかも、前途洋洋といえる、出来事が、だ。

少し話題がそれたが、話を元に戻す。ソフトバンクのスプリントネクステルの買収は見事としかいえない。すばらしい、成長戦略だ!

ただ、やらねばいけないことも多々あるのは確かだが、これが仕事、といういうものだ。まずやらねばいけないのは、スプリントの業績改善だろう。米国に住んだことのあるものはわかると思うが、スプリントはとにかくチープな印象が強い。そのためか、業績は赤字続きだ。低所得者層のキャリアともいえ、新たな施策が必要ではあるが、日本のソフトバンクとも似ており、かつこの層は、確実に存在するマーケットであるといえ、問題なくクリアできるだろう。


これさえクリアできれば、いいとこづくしの買収といえるだろう。

まずはそのシナジー効果をみてみよう。

なんと、スプリントの傘下には、TD-LTEのサービスを検討clear wireがいる。以前このブログでも言及したが、孫氏は、TD-LTEに思いいれが強いようだ。
http://lteltelte-lteworldsituation.blogspot.jp/2011/04/global-td-lte-initiative-gti_05.html

つまり、この買収劇は、スプリントのネットワーク・ユーザを買うと共にTD-LTEのネットワーク・顧客も買える、超お得なお買い物なのだ。さらに、スプリントの業績が悪いゆえ、株価は低迷の一途を辿ってきており、値段もお安いと来ている。


ソフトバンクは、日本でも、TD-LTE、LTE FDDのネットワークをもっており、スプリントネクステルを手に入れることで、同じ構成のネットワークを手に入れることができ、規模の経済も働かせることができる(周波数の問題もあるが・・・)。

また、この買収が成功すれば、今度は、インド、中国、・・・などと同じ買収モデルを繰り返すこともできる。

このようにシナジー効果は膨大だといえる。


そして、この買収のもうひとつの効果は、リスク回避だ。

ソフトバンクは今までは基本国内でビジネスを展開してきた。ただ、日本の国自体は少子化、増税、国債の暴落危機など、いい話が聞かれない、状況だ。ソフトバンクはこの買収を機にこうしたリスクを回避できるわけだ。しかも、現在の円高を利用しての買収となるため、将来の国の金融政策如何では、円安に戻り、その際にはかなりお得なものになる、公算が高い。


そして、最後の効果は、日本経済への影響だ。

現在ソフトバンクにサービスなどを提供している、ゲーム会社やコンテンツ配信会社、機器提供メーカなど、市場拡大と共に彼らの業績もあがることが考えられ、是非ともこういった現象も期待したいところである。


以上のように、非常に期待することの多い今回の買収だが(まだ決まっていないようだが)、以前NTTドコモが米国のキャリア会社に多額の出資をし失敗したことが示すように、
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NCC/NEWS/20001130/2/
米国市場はそうやさしくはない。米国文化にも造詣のある、孫氏だが、ここはこころしてあたらないといけないのかもしれない。


ただ、なかなか成長戦略が描けない日本企業にあって是非とも期待した企業のひとつといえよう。



2012年10月8日月曜日

ファーウェイ(Huawei)、ZTEが米国の安全保障を脅かすと認定

中国通信機器大手ファーウェイとZTEが米国の安全保障を脅かすと米下院情報特別委員会に認定され、両社の米国での動きが今後鈍りそうだ。
http://jp.wsj.com/Business-Companies/Technology/node_525633?mod=WSJFeatures

米国はトヨタの際もそうであったように、海外勢が米国内で勢力を拡大しはじめると、なんくせをつけるくせ(ビジネス手法?)がある。今回はもファーウェイは米国でIPOを模索している、とも一部報道されており、これに対しての牽制球なのかもしれない?

ファーウェイは、現在の中国の経済状況下、資金が必要となりIPOを模索しているようなのだが、今回のこの米下院情報特別委員会の認可はかなりファーウェイにとって痛いと思われる。以前は、ファーウェイ、ZTEは無償で中国政府から資金を援助されていたようだが、欧州危機最中の現在、中国経済も如何に悪いか、この事例からもよくわかる。ただ、資金がなくては特にインフラビジネスの拡大は難しい(ファーウェイは、基地局だけでもないが・・・)。このニュースによって資金繰りが悪化するようなことがあれば、様々な面で日本企業にも影響をおよぼすであろう。

① 米国市場での基地局案件の獲得
米国ではより信頼性の高い、他の基地局ベンダの機会が増えるであろう。NEC、富士通などの日本の基地局ベンダもがんばって欲しいところである。

② 中国インフラを採用する日本のキャリアの品質悪化
資金繰りが悪化してくれば、コストの削減、人件費の削減、などで製品自体の品質が悪化してくる。これに顧客クレームが入りやすくなることも考えられるので十分注意が必要かと思う。

本ニュースに関しては、今後どのようになるか現段階で予測するのは難しいので、今後の動向を注意深く見て行きたい。





2012年10月2日火曜日

ソフトバンクのイーアクセス買収、から見える日本の携帯オペレータの今後

2012年10月1日、ソフトバンクがイーアクセス買収を発表した。ウィルコムのPHS加入者数をいれると、ソフトバンクが日本での第二位の携帯電話プロバイダとなる。

買収の決め手となったのは、やはりスマートフォンの普及によるデータトラフィックの分散であろう。iPhoneの普及によるトラフィック増大を考え、公衆無線LANの普及にも尽力してきたが(http://lteltelte-lteworldsituation.blogspot.jp/2011/10/wifi.html)、これだけは不十分と考え、やはり携帯網の拡充にも乗り出してきたのであろう。

LTEのband 3というと日本では、1.7GHzをさし、海外では、1.8GHzと言われるが、このイーアクセスがもっていたband 3が今回の買収の決め手となったわけだ。iPhone5では、band1とband3両方使えるため、今後のソフトバンクのiPhoneはトラフィックの渋滞に悩まされること無く、快適なデータ通信が楽しめる可能性が高い。
http://www.apple.com/iphone/LTE/

これは、ものすごくKDDIに対する優位点になる。

また、ディザリングをした関係でデータ通信トラフィックはさらに渋滞状態になる。この状態でKDDIはどこまで耐えられるだろうか?すぐさま評判が落ちソフトバンクへ移行するユーザもでてはおかしくない状況だ。

しかもソフトバンクは、傘下にWireless City Planningもある。旧ウィルコムの基地局部隊だ。ここでは、TD-LTE(彼らはAXGPと呼んでいる)が既にサービス開始寸前という状態(11月1日予定)であり、このTD-LTE技術は、中国、インドなど人口過多のエリアで採用が決まっている技術で、iPhoneの将来モデルで対応することは間違いないものだ。次のiPhoneモデルが出た場合は、TD-LTEをテザリング用に割り当てる、なんてこともでき、スマホのデータ通信の圧迫を防ぐような施策も打ち出せる状態にあるのだ。

一方、KDDIのWimaxがiPhoneに搭載されることはないだろう。こういった背景を考えるとUQコミュニケーションがTD-LTEのサービスを開始するのも先の話ではなさそうだ。


いずれにせよ、当面ソフトバンクの躍進はつづくであろう。また、アップルはグローバルMVNOなんてものも仕掛けてくる可能性もある。iPhoneの製造コスト削減や通信費の獲得、拡充サービスの提供など、メリットが大きいからだ。おそらく日本ではソフトバンクに白羽の矢が立つであろう。アップルがこわいのは、以前マイクロソフトが経験したように独禁法のみかもしれない。

スマホの普及は若年層には抜群である。若者の生活様態はそのまま未来の経済動向となるため、ソフトバンクの未来も明るいだろう。しかもスマホはビジネスにとっても大変便利なツールである。

これに加え、ドコモは『アマゾンや楽天のような会社を目指す』としている。これは、ソフトバンクを目指す、と言っているように私には聞こえる。

このような状況を考えるとボーダフォンを買収の際に言っていた孫氏の「ドコモを追い抜く」と言う言葉が脳裏をよぎる。

もう射程圏内といってもいい状況なのではないだろうか。