2011年2月12日土曜日

GSA(The Global mobile Suppliers Association)

GSAという調査団体をご存知だろうか。

携帯関連の、もっと詳しくいうと3GPP系のテクノロジトレンドをまとめている調査団体だ。
登録すれば無償でデータにアクセスできるので、興味があれば是非アクセスしていただきたい。

http://www.gsacom.com/

ちなみに、3GPP2系のテクノロジに関してはCDG(CDMA Development Group)という団体がまとめている。

http://www.cdg.org/

こちらも興味があればアクセスいただければと思う。


GSAがLTE関連のデバイスに関してまとめている。ここで初めて日本勢が記載された。富士通だ。
今後どんどん日本勢がのることを祈願し、ここに紹介したい。

2011年2月11日金曜日

ノキア スマホ戦略でマイクロソフトと提携!

最近携帯電話のシェアを大きく落としているノキアが大きな提携報道で紙面を賑わせた。

ITの巨人、マイクロソフトとの提携だ。

筆者のような古い人間は、スマートフォンと言えば以前はマイクロソフトウィンドウズののった携帯電話でウィンドウズのアプリケーション(ワードやエクセルなど)が使えたものであったことを思い出す。。そして、これがまた再現されようとしているのか・・・?

しかし、この提携、筆者は現在の携帯産業の流れを変えるようなものではないと考える。つまり、あまり効果がないということだ。

理由は以下だ。
1.ノキアのCEOはMS出身であり、MSの思想を強く受け継ぐ。
2.MSの時代はやはり終わったのだ。コンピュータはいまやネットワークと一体化しており、MSは以前からその思想が薄い。前CEOビル・ゲイツ氏は以前Webブラウザの開発をも当初反対していた。ITはクラウド、SNSなどのweb2.0時代(最近こういう表現はされなくなったが)であり、この流れにMSはなかなか付いていけないと考える。
3.アップル、RIM、グーグル、サムソン、HTCなどスマートフォン先駆者はかなり手ごわい。特にアップル、グーグルはそのビジネスの幅をスマートフォンのみではなく、Appleストア、iTune、googleサイトなどポータルサイトも持ち合わせており、スマートフォンは単なる窓口にすぎない。ソニーなどもこういったビジネスモデルの構築を進めており、ノキアがどこまでこういったしくみを構築できるか、疑問が残る。
4.人材の確保。やはり、MSの人気は陰りが見えていると考える。以前経済評論家ピーター・ドラッカーは『産業の衰退は優秀な人材を確保できなくなった時から始まる』、と述べているがこれは企業に関しても同様である。GPTW(Great Place To Work)の調査でもグーグルが一位に輝く一方、MSは10位にも入っていない。

などである。

といっても誰も未来を確実に予想することはできない。これからのノキアの動きに注目していきたい。また、本ブログの題名にもなっているLTEに関してだが、ノキアはLTEの着手が非常に遅れている。他のスマートフォンメーカは既に開発を着手しており、確実にLTEのスマートフォンを近い将来登場させる。この観点からもノキアは非常にビハンドしている。

どうした巨人。やはり世の慣わしに従い、栄枯盛衰となるのか・・・

また、以下にアメリカ調査会社Gartnerの調査した現在の携帯のシェアを記載したい。

http://www.gartner.com/it/page.jsp?id=1543014

『携帯電話のグローバルシェア』




出典:Gartner(2011年2月)






『携帯電話OSのグローバルシェア』




出典:Gartner(2011年2月)



まぁ、ノキアを心配する前に日本の携帯電話メーカを心配した方がよさそうだ。LTEはグローバル標準規格。LTEでなんとも巻き返しを図っていただきたいところだ。


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ノキア:米マイクロソフトと戦略的提携 スマホで巻き返し
2011年2月11日 20時19分 更新:2月11日 20時52分

【ロンドン会川晴之】携帯電話機世界最大手のノキア(本社・フィンランド)は11日、米マイクロソフト(MS)と多機能携帯電話(スマートフォン)を中心に、幅広い分野で戦略的提携を結んだと発表した。基本ソフト(OS)にMS製の「ウィンドウズフォン7」を採用した新たなスマートフォンを開発し、先行する米アップルや米グーグルを追い上げる態勢を構築する。

 米調査会社ガートナーによると、10年のスマートフォンの世界販売台数は前年比72%増と急伸。アップルの「アイフォーン」や、グーグルのOS「アンドロイド」を搭載した端末がシェアを伸ばしている。

 ノキアも独自のOS「シンビアン」を採用したスマートフォンを展開しているが、グーグルに猛烈に追い上げられ、10年の携帯電話機の世界シェアは36.4%から28.9%に急落。MSも携帯電話会社との提携が進まず、OSの市場シェアは4%にとどまっていた。

ノキアはMS製OSを搭載するスマートフォンには、検索エンジンもMS製の「ビング」を、地図情報サービスでもMS製のソフトを採用する。

 MS出身であるノキアのエロップ最高経営責任者(CEO)は「スマートフォン分野で業界のリーダーになる」と、巻き返しを図る考えを強調した。

2011年2月5日土曜日

ソフトバンクのスマホ戦略を考える

先日KDDIの今後のスマホ戦略に関して当ブログで予想を示した。
http://lteltelte-lteworldsituation.blogspot.com/2011/02/kddi.html

端的に言えばKDDIの今後は明るいという、記事だ。

ここではソフトバンクのスマホ戦略について考えたい。

現在ソフトバンクが持っている周波数は、
1.5GHz DC-HSPA
1.9/2.1GHz  LTEorHSDPA
ともうひとつウィルコムに割り当てられた
2.0GHz  TD-LTE(アドバンスドXGP)
だ。

さすが、IT界の風雲児 孫正義社長 !
ウィルコムの買い物はすばらしいっ!このバンドでのTD-LTEがKDDIでいうところのWiMAXの
役目をすると思われる。

つまり、
音声→ 1.5GHz DC-HSPA
データ通信(移動時)→ TD-LTE
データ通信(固定時)→ 無線LAN

となる。そのため、1.9/2.1GHzは不要となるだろう。ここでデータ通信(移動時)に1.9/2.1GHzのLTEではなくTD-LTEを使うのは、やはりコストの面だ。あえてLTE FDD(1.9/2.1GHz)を採用しリスクを負うのは賢明ではない。TD-LTEにすれば中国・韓国勢の安価で魅力的なインフラ・端末を手にすることができ、競合に対して有利にビジネスの駒を進めることができるようになる。必ずデータ通信はTD-LTEで補われるだろう。

KDDIでは、あまった回線(WiMAXが残ることになるが)はMVNOとして収益をあげるようになると思われるがソフトバンクではその性質上インフラビジネスをすることはあまり得策ではない。ただ、折角もらった周波数をただで返却するようなお人よしビジネスマンではないので、何かしらしかけてはくるだろう。ローミングの利点をアピールし外資のキャリアにそのまま貸すような形態で提携するかもしれない。またM2M専用回線に当てられるかもしれない。

現在スマートフォンの台頭が目覚しいが、電話からの切り口ではなく、他の携帯端末がWiFiだけでなく携帯の通信機能も備えようという動きがある。ソニーが先日発表したPSPに3G回線をいれる例に代表されるゲーム機や、電子辞書、電子書籍端末、パソコン、自動販売機、カーナビなどが考えられている。これらはM2Mの通信なので多くのデータ量は不要だ。格安の基本料金で多くのM2Mを囲い込むかもしれない。このM2Mも孫さんの独自のビジネスセンスで現在ソフトバンクがもつビジネスとシナジーをだし、より価値を発揮することも想像に難くない。


話を端末の方に向けよう。現在ソフトバンクが用意するスマートフォンのラインナップはかなりのものだ。

・ アップル(iPhone4)
・ シャープ(GARAPAGOS)
・ HTC(Desire HD)
・ デル(DELL Streak)
・ ZTE(Libero)
・ ファーウェイ(004HW)

これらのメーカは、LTEでも比較的鼻息の荒いメーカだ。特に中国勢ZTE、ファーウェイはTD-LTEの開発も進んでいる。これらのメーカと組んで早い時期に上記であげた
音声→ 1.5GHz DC-HSPA
データ通信(移動時)→ TD-LTE
データ通信(固定時)→ 無線LAN
の組み合わせのスマートフォンをだせば、さらにシェア拡大なんていうことも十分可能であろう。アップルにおいても必ずやLTEを載せてくるだろうし、また巨大市場の中国を見逃すこともしないであろう。そういう意味でもアップルもソフトバンクの意図にあったスマートフォンも供給できるとみる。

また、無線LANのインフラも整備できているのが、このソフトバンクだ。KDDIなどはソフトバンクから回線を借りている状態だ。


KDDIに続きソフトバンクの未来も明るいのではなかろうか。むしろ、ソフトバンクにはスマートフォンビジネスに死角が見つからない。

日本の携帯電話各社の周波数割当状況(2011年1月現在)


















※ NTTdocomoのクロッシィは、2GHz帯の5MHzを使用しサービス
(2011年1月現在)


参考:


KDDIのスマホ戦略を考える

2010年4月~12月の通信三社の連結決算がでそろったようだ。

ソフトバンクの一人勝ちで、KDDIの一人負け、と言える内容だ。マスコミ各社はスマートフォン戦略の乗り遅れが響いたと分析している。

ここでまずはKDDIの今後の予定を見てみたい。

KDDI(au)は、LTEのサービス開始を2012年に予定しており、その間をEVDO Rev.B 、スマートフォンをWiMAXで凌ぐ戦略を打ち出している。

これまで日本の通信業界が『ガラパゴス』と呼ばれ、なかなか世界市場に出れず冷や飯を食わされたことでわかるように、マイナーな技術を採用するのは得策ではない。

・ 魅力的な端末確保が困難
・ インフラ代が高価

などが伴うからだ。

Rev.BはRev.Aに比較的技術が似ており、アップグレードが容易であるが、Rev.Bを導入する世界のオペレータは3社と極めて少ない(http://www.cdg.org/resources/cdma_stats.asp)。

そして、以前の記事でも書いたが、世界のWiMAXベンダはTD-LTEへの移行を模索しておりWiMAXの市場供給自体縮小傾向なのだ。これに加えKDDIはWiMAX2という規格も導入することを検討している。

Rev.B、WiMAX路線は極めてリスキーとしか言えない。

しかもデータレートもそれほどは望めない。
- Rev.B → 14.7Mbps
- WiMAX → 40Mbps

一方他社の採用する技術では、
- DC-HSPA+ (ソフトバンク、イーモバイル) →42Mbps
- LTE(クロッシィ:docomo) →37.5Mbps
であり、これらは今後もスピードを向上させることができる。


しかし、これは理論上の話だ。

以下のような測定結果がある。

つまり、WiMAXは、契約数を伸ばしているがインフラも十分整備されているため、実際のデータレートが確保できてるようなのだ。一方他のキャリア(docomo、イーモバイル)は理論上速度の速いテクノロジを使っているが、インフラやスケジューリングの関係で、やはりスピードがまだでていないのだ。私もWiMAXとクロッシィを使った経験があるが、やはりWiMAXの方が快適であった。

これはかなり消費者にとって魅力的だ。

一見今後も劣勢なKDDIだが、彼らのスマートフォンにEVDO、WiMAX、無線LANがのれば音声、データ通信(高速移動時、スポット使用)が十分に確保でき、今後挽回できる潜在力が十二分ある、と言えるのではなかろうか(しかし帯域的にはEVDO、WiMAXの両方の周波数を使っているので、収益率がいいということにはならないが)。

Rev.Bにはどの程度設備投資がかかるか不明だが、とにかくマイナー技術に手をだすのはリスキーだ(もう既に遅いが・・・)。

その投資リソースがあるなら、魅力あるスマートフォンの開発、コンテンツインフラの整備、800MHz帯でのLTEサービスの充実に仕向けるべきだと考える。

もちろん、スピードだけが消費者の選定ファクタになるわけではないが、快適なネット接続環境は確実に一つの条件となっている。

つまり、Rev.B、WiMAXはマイナーテクノロジでリスキーだが、WiMAXがここまでインフラが整っていれば十分優位性になるということだ。

こうなると、LTEの存在が薄れる。現在KDDIグループは周波数を
2GHz 、帯域40MHz(CDMA 2000 1x、EVDO Rev.A)

800MHz、帯域30MHz (cdmaOne / CDMA 2000 1xいずれLTE移行?)
1.5GHz、帯域20MHz(LTE)

またUQコミュニケーションズの、
2.5GHz、30MHz帯域(WiMAX)
をもっており、

現状の
音声 → EVDO(cdmaOne / CDMA 2000 1x)
データ通信(移動時)  → WiMAX
データ通信(固定時)  → 無線LAN

ではいいコンビとなるが、LTEが入ると
・ LTE(15.GHz、800MHz)
・ CDMA 2000 1x、EVDO Rev.A(2GHz)
・ WiMAX(2.5GHz)
となり、LTEとWiMAXの役割が被ってしまうことになる。


そのため、ある程度LTEインフラが整ったら、
スマートフォンは、LTEでデータ通信をまかない、WiMAXはMVNOなどをしてJRや電力会社、
カーナビなど法人通信網として活用するのがよいと考える。

つまり、今後のKDDIのスマホ戦略(データ速度のみを考えた場合)として、
[LTE以前]
音声→ EVDO(音声通信で十分なのでRev.Bなど余分な設備投資をしない)
データ通信(移動時)→ WiMAX
データ通信(固定時)→ 無線LAN

[LTE開始後]
音声→ EVDO
データ通信(移動時)→ LTE
データ通信(固定時)→ 無線LAN

※ WiMAXは法人への通信インフラ提供

という形が最適かと考える。特に800MHz帯のLTEは他のキャリアとの差別化にもつながり、今後のKDDIの未来は上記戦略に従えば十分に明るいものだと考える(もちろんこれ以上いい考えをKDDIの従業員の皆様は考え付くであろうが・・・)。

最近何かと元気がないKDDIだが、是非とも今後の明るい日本のためにも応援していきたい。


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ソフトバンク最高益、スマホ出遅れKDDI減益

読売新聞 2月4日(金)18時3分配信

 通信大手3社の2010年4~12月期連結決算が4日、出そろった。ソフトバンクはスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)4」のヒットで、売上高、営業利益、税引き後利益とも過去最高を更新した。

 NTTも増収増益を確保したが、KDDIは減収減益だった。売れ筋のスマートフォン戦略の巧拙が明暗を分けた。

 ソフトバンクは主力の携帯電話事業で、新規契約から解約を差し引いた純増数が252万件に上り、1契約当たりの月間平均収入も唯一増加した。データ通信収入の伸び率は13%に達し、「アイフォーン効果」が顕著に現れた。NTTは、音声通話収入の減少は続いたが、NTTドコモやNTT東日本でデータ通信収入が増えた。一方、KDDIは、スマートフォンの投入の遅れが響き、音声通話収入の落ち込みをカバーできなかった。