2011年9月23日金曜日

NTTドコモ、独子会社が金融会社買収 スマホ向け決済展開

日経新聞で、ドコモの子会社ネットモバイルが決済事業を行うドイツ企業へ追加出資すると、報道されている。

http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819696E0E0E294E18DE0E0E2EBE0E2E3E38698E0E2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2

この記事から2つのことを感じる。
① 円高を利用した海外企業の買収ラッシュ
② 携帯事業者の通信料による収益モデルからの脱却
だ。前者は以前も触れたが、今後もこの円高を利用し、欧州を今年、来年には米国の企業を買収していくのではないか、と感じている。

今回記事にしたのは②こそが、今後のキャリア会社が目指す道と感じたからだ。

NTTドコモは携帯電話を社会のサービスプラットフォームにしようと考えているようだ。「モバイルを核とした総合サービス企業」という言い方をしている。

以前、送金ビジネスを携帯電話事業者の一つの柱にしていく、というコメントを聞いたことがある。金融機関を使用した送金は手数料があまりにも高く、特に発展途上の国では利用しにくい。そのため、携帯を使用した送金をするケースが海外では圧倒的に多いようだ。この手数料が事業者に入る、というモデルだ。

そうした送金システム・決済システムを含む銀行業、健康・医療、教育、環境分野などなどのサービスを提供し、利益を上げていくことをドコモは目指しているようだ。ソフトバンクもヤフーを活用し、サービス業には力をいれているが、ソフトバンクと決定的に異なることがある。技術力と資金力だ。ドコモは以前からマルチメディアなどの研究にも力をいれ、いろいろなサービスを自社で提供できる能力を有している。また、圧倒的な資金力で、欧米企業の買収、出資、またアジア勢とのコラボなどが容易にできる(この円高、そして二番底が懸念される金融危機はこうした資本戦力に関してドコモの背中を押すことになるだろう)。

そうした技術力と資金力を駆使し、総合サービス企業に生まれ変わったドコモはまさに経済界の巨人となるだろう。多くの従業員を社費で海外留学させるなど、人材のグローバル化にも抜け目はない。

以前PHSの台頭が携帯電話の普及を促したように(PHS以前は携帯料金は高く、庶民には手がでなかったが、PHSで価格破壊が起こり、携帯料金が下がり普及が促された)、ソフトバンク、KDDIの台頭は、ドコモを総合サービスカンパニーへと促し、ドコモの繁栄の道づくりをしたにすぎないのかもしれない。



ZTE 2012年Q2にもLTE端末リリースか!?

中国ZTEが2012年Q2にLTE端末をリリースすると発表した。基地局では既にLTE FDD、TD-LTEの両方で活気のある同社なので、意外に遅いなぁ、という感じはするが、この時期に中国以外でリリースするようだ。

同社は現在ノキア、サムソン、LG、アップルに続き世界で第5位の携帯端末メーカになっている。さすが、前身は国営企業で未だに資金を無利子で政府から調達できるとあって、その急成長ぶりはご存知のとおりである。また、今年の末にはウィンドウズフォンもリリース予定であり、その勢いは留まるところを知らないようだ。


話は変わるが先日携帯電話を電気量販店に見に行った。まさにグローバル競争だな感じるほど様々な国の端末が陳列されていたが、これを見る限り、日本メーカが見劣りする様子はどこにもなく、近い将来日本のメーカも世界で好成績を上げる可能性は十二分にあると感じた。

あるエコノミストが日本がグローバル化に適応するためには、まず日本の市場をオープンにさせることだ、と言っていたのを思い出すが、まさに現在の日本の携帯市場は海外メーカに対してオープンになっており、最初は日本メーカも冷や飯を食うことになるかもしれないが、これをバネに必ず世界市場でシェアを伸ばしていく、という気がしている。

是非ともがんばっていただきたいと願うところである。


2011年9月19日月曜日

AT&TがLTEサービスを開始!

米国のもうひとつの主要キャリア会社AT&TがとうとうLTEサービスを開始しました。これにより本格的な4G通信時代への突入と言えるかと思います。

HTC jetstreamのタブレット端末など4機種を用意し、5GBダウンロードまでは定額、それ以上は課金といった料金プランでのスタートです。

T-mobileの買収が成立すればLTEの網は全米の97%までカバーできるとのことです。これは米国ではすごいですし、ローミングコストなどを考えるとAT&Tの収益性は格段に高まるといえます。

ベライゾンが同様にスプリントネクストテルを買収にかかるか??


アマゾン タブレット端末の噂

これはまだ噂の域をでない情報だが、今年の10月あたりにアマゾンがタブレット型端末をリリースするそうだ。

アマゾンといえば電子書籍キンドルを爆発的に普及させ、欧米の本屋を倒産にまで陥らせた実績をもつ。このキンドルはあくまでも電子書籍用の端末だったが、これをアンドロイドOSで一気にタブレット市場に攻勢をかける格好だ。もちろん、目指すはアップルのiPadだ。

10月に7インチ、2012年初めに10インチの端末をだす予定だそうだ(なかなか正式発表がないのでおくれそうだが)。そのため、このタブレット端末と整合をとる、かつ新たなビジネス展開を行うため、自社のホームページを現在修正中だとか。

本端末にはLTEネットワーク機能は載らないようだが、前日から書いているようにタブレット端末に携帯ネットワーク機能は不要かと思うので、wifiだけで楽しめればいいのかな・・・と思う。

ただ、この情報、全く日本では関係ないのかもしれない。日本ではキンドルどころか電子書籍すら、全く普及していないのだから・・・。

日本は時代遅れだ、とか言われるかもしれないが、日本の文房具技術は素晴らしく、本などの触感が日本人は好きなんだろうし、まぁ雑誌などは徐々にではあるが、普及しているように感じるので、まぁ焦らず市場を見守っていきたい。


(WiFi)ルータが変えるLTEなど無線通信業界の生態系

GSA(Global mobile supplier association)の2011年7月のレポートによると、LTE製品は世界で161品が既にリリースされている、とのことだ。
http://www.gsacom.com/downloads/pdf/gsa_lte_ecosystem_report_290711.php4

その内訳は、

- モジュール 29
- タブレット 8
- ノートブック 10
- PCカード 2
- 電話 8
(WiFi)ルータ 63
- USBモデル 41
 
となっており、ルータの数が一番多い。やはり、LTEは最初データ通信に特化したネットワークであることと、スマートフォンなど電話機能を含むものなどは、高機能で投資が大きいので、最初はルータから作る、というのは納得のいくところだ。


私自身もタブレット端末を購入した後、wifiルータは非常に便利に使用させてもらっている。入手したタブレット端末が携帯系のネットワークを積んでおらず、外で使うためには不便なので、あたらに購入したのだ。これを購入した後、自分のネットワーク環境をより便利に安価に変えようと、いろいろアイディアが浮かんできた。

・ 公衆無線LANサービスの解約(wifiルータでどこでも賄える)
・ iPhoneからiPod touchへの変更の検討(通話機能はスカイプやNTTコミュニケーションズの050plusで賄える)
・ 家の有線ネットワーク解約の検討(無線LANで全て構築していたがwifiルータで賄えるので)
などなどだ。

つまり、上記のサービスなどを解約したとしても、なんら支障がなさそうなのだ。ルータは特にwifiルータは通信業界の利益をシュリンクさせるように働くのではないかとまで感じる。

また、GSAの調べでもあるようにLTEで多くのルータが登場してくることになるので、今後この動きは加速していく。そして、以前はLTEとWiMAXや、ADSLと光のように、無線なら無線、有線なら有線で競争しあっていたのだが、今後は私の3番目の変化のように、有線通信と無線通信が同じ土俵にのり、戦っていくことになるので、通信業界の競争はさらに激化していく、と感じる。

インフラ代に目を向けると、WiFiのインフラとモバイルのそれは当然桁が違う程後者の方が高い。つまり、より前者の方にデータ通信を逃していかなくてはならなかったのだが、wifiルータはよりモバイルインフラの方に負荷をかけることになる。これにより通信事業者のインフラ構築の必要性の向上、そして収益の圧迫、ユーザのネットワークコストの増大もしくはwifiルータの禁止、なんてことも起きるかもしれない。

また、他の面では、現在PCやゲーム機などにモバイルモジュールをいれ、利便性を図ろうとする動きがある。しかし、これすらもwifiルータによって一蹴されることになるだろう。つまり、今まで通りwifiモジュールの入ったPC、ゲームがあれば、wifiルータによっていつでもモバイルネットワークにつなげることができるようになるのである。

この動きにより、モバイル技術のモジュール・チップセットまた測定器は売れなくなることになる。

プラスの面をみると、ルータメーカの売上の向上だろう。

日本でも既にPLANEXやバッファローなどが表明しているように彼らのようなwifi系の製品を作ってきたメーカがより脚光を浴びるかもしれない。より小型でより電池のもちのよい、もしくは太陽電池付きのルータなどがあれば大きな収益をあげるかもしれない。ただ、このあたりは韓国・台湾・中国勢が得意なところなので、日本メーカは厳しいかもしれないが。

以上、長々と書いたがwifiルータの普及が進むと、
・ 1ユーザあたりの総合的な(有線等も含めた)通信コストの低減
・ 有線・無線通信を交えた競争の激化
・ キャリア会社の収益の圧迫
・ ルータメーカの売上向上
などの現象が起こってくるのでは・・・とみる。またスマートフォンでティザリングなどをして使用する方法が加速するとルータメーカには旨味はないことになる・・・。

いずれにせよ、wifiルータは通信業界の台風の目となりそうだ。その普及率なども今後ウォッチしていきたい。


3GPP リリース11(LTE) とキャリアアグリゲーション

既にリリース11の規格化が進められているが、LTEに関係するものを列挙すると以下のようになる。



  • Network-Based Positioning Support for LTE  
  • Service continuity in connected mode and location information for MBMS for LTE  
  • LTE-Advanced Carrier Aggregation of Band 3 and Band 7  
  • LTE Advanced Carrier Aggregation of Band 4 and Band 17  
  • LTE Advanced Carrier Aggregation of Band 4 and Band 13  
  • LTE Carrier Aggregation Enhancements  
  • LTE Advanced Carrier Aggregation of Band 4 and Band 12 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation of Band 5 and Band 12 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation of Band 20 and Band 7 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation Band 2 and Band 17 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation Band 4 and Band 5  
  • LTE Advanced Carrier Aggregation Band 5 and Band 17 
  • Further Enhanced Non CA-based ICIC for LTE  
  • New Band LTE Downlink FDD 716-728 MHz 
  • LTE RAN Enhancements for Diverse Data Applications 
  • LTE E850 - Lower Band for Region 2 (non-US) 
  • Carrier based HetNet ICIC for LTE 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation in Band 38 
  • LTE Advanced Carrier Aggregation in Band 41 
  • LTE for 700 MHz Digital Dividend 
  • Relays for LTE (part 2) 


現在議論されているアイテムの中で実に21アイテムがキャリアアグリゲーションに関するものということがわかる。スループットをあげるには周波数利用効率をあげるか使用帯域を広げるか、しか方法がないが、前者はOFDMやMIMO技術などの導入で現状は頭打ちなので、後者の使用帯域を広げることがいろいろと検討されているようだ。

しかも、このキャリアアグリゲーションは不連続の帯域でも使用可能で、現在いろいろな無線通信・放送がデジタル化することでホワイトスペースができはじめている背景を考えると、非常に重要なアイテムだと言える。

キャリアアグリゲーションは後方互換性が確保されているので、キャリア事業者としてもサービス拡張の上でも非常に導入しやすいと言える。

実は本アイテムは携帯系の通信だけではなく、無線LAN系のIEEE802.11ac/adでも導入されており(キャリアアグリゲーションという名称は使われていないが、キャリアの拡張という意味で)、今後は必須の技術となっていくだろう。


2011年9月15日木曜日

NTTドコモ、サムソン、LTEなどの高速通信制御用の半導体開発合弁会社設立へ

NTTドコモ、富士通、NEC、パナソニックモバイルコミュニケーションズ、サムソン電子が合弁会社を設立する。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110914/bsj1109140504001-n1.htm

クアルコムの牙城を崩すためだ。

GSAの報告にもあるが、LTEのチップセットメーカは意外と多い。しかし、実際に採用されるのはクアルコムが8割程度を占める、といっていい状況だ。

日本勢もDNFPプラットフォームを二種類共同開発した経緯があるが、採用されたのは台湾のメディアテック1社にとどまっているようだ。

このチップセットはそれほど接続性という観点で劣っているということはないが、そのブランド力、サポート力などが絡み、やはり採用されていない。

こういった状況を打破するために、半導体の会社を設立する、ということになったのだろう。

ただ、もしそういう狙いであるとすれば、台湾勢や中国勢も参加させるべきだったのではないか?誘ったが仲間に入らなかったのであろうか?また、韓国勢ならLGもいれてもいいと思うが、これも断られたのだろうか?

サムソンだけと協業する狙いはなんであろうか?先にグローバルビジネスで成功しているサムソンのノウハウを吸収する、ということであろうか?また、本合弁会社は開発・設計のみで、量産は他で行う、ということだが、そういった意味でルネサスの立ち位置はどのようになるのか?また、ルネサスが買収したノキアのモデム部門は???

正直謎の多い今回の発表だが、いずれにせよアジア勢のグローバル社会での活躍を切に願う。


2011年9月4日日曜日

タブレット端末には携帯電話ネットワーク機能は不要??

スマートフォンと同様、タブレット端末の勢いもすごい。全携帯メーカー、pcメーカーがタブレット端末をリリースしているといっていいほどだ。しかも、数年前までの状況と異なり、中国、台湾、韓国などのアジア勢の勢いもあり、その市場は本当に活況に満ちていると言っていいだろう。

しかも実際、このタブレット端末、使ってみると手放せない。 私自身iPad2を愛用しているが、その携帯性、アプリの豊富さ、利便性、スタイリッシュさ、どこをとっても使用しない手はないと感じる。今後企業のサーバーなどもこのタブレット端末に対応していくだろうから、外出の多い営業マンなども間違いなくタブレット端末を持つことになるだろう。 このタブレットにLTEのネットワーク機能が必須になるだろうか?ソフトバンクの孫正義CEOなどはTD-LTEの載ったiPadをかなり重要視しているようだが、 実際使用していると違った考えも浮かんでくる。 

そのひとつの原因が「ルータ(WiFi <-> LTEなど携帯電話ネットワーク機能)」の存在だ。

これに関しては別途トピックを設け、本ブログでも議論したいところだが、このルータの存在がタブレット端末において携帯電話ネットワーク機能を不要にさせる、と私は考えている。 BCNの調査によればiPadの初代モデルではWiFiモデルとWiFi + 3Gモデルの販売比率はほぼ1対1だったそうだが、iPad2においては7対3となっており、3Gのネットワーク機能が不人気だということがわかる。これは3Gモデルはキャリア会社からの補助費が入るので初期費用はあまり変わらないことを考えると、価格に基づいた差ではないと言える。 http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/ce/20110513_445062.html

つまり、消費者がタブレット端末には携帯電話ネットワーク機能は不要だと判断したとも取れるのだ。これは実際使ってみるとルータがなくてもそう感じる。タブレット端末を使用するのは家かオフィスがほとんどで電車や車の中などでインターネットにアクセスしようと思うことはまずない。そして、これにルータがあれば全てが解決してしまうわけだ。 そうタブレット端末には携帯電話ネットワーク機能は不要だと言える。携帯電話各社がタブレット端末にもスマートフォン同様期待を寄せているようだが、現状の収益モデルでは当てが外れることになると予想する。 

また、実際使用してみて欲しいと思う無線通信ネットワーク機能は、 ・ wireless HD もしくは、 ・ WiGig などのミリ波帯の超高速伝送規格だ。これらの規格で超高画質映像の伝送が可能だ。これらの無線通信規格により家のテレビやHDDレコーダーから電波を飛ばしてもらい、タブレット端末で家の中のどこでもそれらを楽しめる、というわけだ。60GHz帯で直進性が高いので利用範囲が限られるかもしれないが、寝室やバス・トイレなど、別途TVなど購入しなくても映像が楽しめることになる。また、HDDレコーダーなどに録った番組をタブレット端末に移行するのも一瞬のうちに行えるようになる。 

そう、タブレット端末には、LTEなどの携帯電話ネットワーク機能ではなく、wireless HDやWiGigなどの無線通信機能を実装がキーとなってくるかもしれない。あくまでもこれは私の個人的見解ではあるが・・・。


2011年9月1日木曜日

AT&TとT-mobileの合併を阻止する米国政府機関

AT&TとT-mobileの合併を阻止する動きがでてきた。

独禁法にかからないまでも市場競争を著しく低下させ、消費者に恩恵をもたらさない、ということが理由だ。

AT&TとT-mobileは共に3G時代WCDMAを採用し、いわば仲間だ。これらが一つになれば設備投資費や販促費、また加入ユーザ数が一緒になることで規模の経済の効果があり、事業運営の面でもメリットは大きいと見られる。

また米国では3G時代にCDMA2000を採用し、今後これまた合併の噂がある2つのキャリア会社がある。ベライゾンワイヤレスとスプリントネクストテルだ。

米国には星の数ほどキャリア会社があると言っても過言ではないが、上記にあげた4キャリア会社はトップ4のキャリアといっていいだろう。

合併がそもそもいけないことだろうか?今メーカは合併を繰り返している。東芝と富士通、NECとカシオと日立、ルネサスとノキア、基地局メーカではモトローラとノキアシーメンスネットワークなどだ。

実はメーカの方がグローバリゼーションが活発で、グローバルの範囲で合併等が起こり、また新興勢力が台頭している。つまり、合併は成り行きで、それを補完するかのように新興勢力の台頭がある(逆に先にも新興勢力があったから合併せざるをえない、という考え方もあるが・・・)。

携帯産業は有限の資産「周波数」を使うため、規制が多いが、市場を開放し外資の勢力を取り込んで行けばより消費者にとって恩恵の多い産業になっていくだろう。

なかなか難しい問題だが、資本主義国家をリードするアメリカにはそういった措置もして欲しいものだ。




MIMO技術(Transmission Mode)

LTE release9では送信モード8が追加されている。既にご存知のことと思うが確認のため、
LTEで規定されている送信モードを以下に示す。
 
Transmission Mode 1: Single antenna port, port 0
Transmission Mode 2: Transmit diversity
Transmission Mode 3: Large-delay CDD
Transmission Mode 4: Closed-loop spatial multiplexing
Transmission Mode 5: MU-MIMO
Transmission Mode 6: Closed-loop spatial multiplexing, single layer
Transmission Mode 7: Single antenna port, UE-specific RS (port 5)
Transmission Mode 8: Single or dual-layer transmission with UEspecific RS (ports 7 and/or 8)
(ちなみにportとはアンテナポートを指し、物理アンテナとは異なる。アンテナポートは処理上のポートでチャネル推定を行うリファレンス信号は送信側と受信側で同じアンテナポートを使う。つまり、物理アンテナ2からアンテナポート5の信号が送信されている場合、受信側でも物理アンテナ2の信号を受信しようとする際、アンテナポート5のリファレンス信号を用いてチャネル推定を行う)。

この送信モード8は、2層ビームフォーミングと呼ばれるものであるが、これは送信モード4の空間多重モード(Closed-loop spatial multiplexing)のビームフォーミング版だ。つまり下りの電波はビームを形成しており、かつ2つの情報ストリームを並行して送信しており、スループットが倍になる、というものだ。

また、この送信モード8は1ユーザに対して送信しスループットを高める方法と、各情報ストリームを2ユーザに割り振り、スループットは向上しないものの、同じ物理リソースを使用して異なるユーザにアクセスできるため、基地局の物理リソースを効率的に使えるというすごいメリットがある。

MIMO技術はシンプルだが非常に優れている。シャノンの限界を超えるにもこの技術が必要だった。今後はLTEだけでなく、他の無線通信にも複数レイヤのビームフォーミング技術は導入されていくだろう。