2011年6月12日日曜日

KDDI vs ソフトバンク

KDDIとソフトバンクの加入者数が切迫している。もう既に同位2位と言ってよいほどだ。

この2社、LTEの導入によってどう順位に差がでてくるだろうか?

まず、各社のサービス開始時期だが、
ソフトバンク→   2011年末頃
KDDI→       2012年末頃
とKDDIの方が一年遅い。これは例の周波数再編を待ち800MHz帯で大々的にLTEサービスを行いたい、という意図からだ。KDDI陣営としては、時期よりその後のサービス(回線のつなぎやすさ、インフラコストの廉価さ)を優先させた形だ。

私はこれが裏目にでると予想している。


ではソフトバンクのメリットから見てみよう。ソフトバンクは本ブログでも何度も言っているようにTD-LTEを採用する。今年はじめのバルセロナで行われたモバイル・ワールド・コングレスではGlobal TD-LTE Initiativeなどというチームを立ち上げ、派手にアピールしてみせた。

このTD-LTEは中国向けといってもいい規格であり、中国のZTE、Huawei、また韓国のサムソンが熱心に開発を行っている。この企業はやはりエリクソン、ノキアシーメンスましてや日本勢のNEC、富士通よりも安価な基地局を作成することができ、この点で運用にはメリットがある。また、中国・韓国勢の技術力、サポート力はここ数年の格段にあがり、いまや理系離れが激しい日本勢よりも定評があるくらいだ。

ソフトバンクは、このテクノロジを採用し、インフラコストの廉価さ、と手にしている。

こうなると、KDDIのメリットの効果はなくなる。その上ソフトバンクはあのスマートフォンの化け物iPhoneを囲んでいる。そして、このiPhoneのTD-LTE版は、既にチャイナモバイルへの供給されることになっている。
http://atlasrnc.jp/arcjp/board_trend_oversea_day/1289

つまり、ソフトバンクにも供給可能ということだ(孫さんは中国に太いパイプをもつ、とされる)。そして、孫さんはバルセロナで「タブレット」の名も連呼していた。つまり、iPhoneだけでなく、TD-LTE版のiPadもでてくる、ということだ。

これだけ魅力的な製品のリリースが予想され、かつサービス開始時期も1年も早いとあっては勝ち目はないだろう。

逆にKDDIがLTE FDDの特徴を生かし
・ PSP(プレイステーション・ポータブル)
・ Nintendo DS
・ Xplay( sony ericsson )
などのLTE FDD版でオンラインゲームなどの魅力的なサービスが提供できるようにすれば少しは勝ち目があるのかもしれない。ただ、これらの製品も当然中国・北米市場を狙うためにTD-LTEは実装している筈であり、そうなれば、勝ち目がないことになる。

もちろん、勝ちか負けかの0、1で決まる話ではないが、今のところ見える情報から推察すると、LTE時代はソフトバンクに軍配があがり、
1.NTTドコモ
2.ソフトバンク
3.KDDI
4.イーアクセス
なんていうことになると予想できる。いずれにせよ、来年が楽しみである。

2011年6月10日金曜日

クラウドとLTE

クラウド化が進んでいる。

クラウドは基本サーバー側に様々なソフトを用意し、クライアントがサーバーにアクセスしながら様々なアプリケーションを使用していく。クライアントの端末側にはほとんどソフトが入っておらず軽装であることが特徴になっている。

今後機器はポータブル化していくと考えられるので、この場合いつでもどこでもということで無線でサーバーとクライアントがつながる。この無線の候補がLTEというわけだ。もちろん無線LANも候補ではあるが、両方活用されることになるだろう。

LTEでは4x4MIMO状態で300Mbpsを超える速度を実現しソフトといっても高々1GB程度なので3秒程度でダウンロードでき十分にクラウド環境に対応できる無線ネットワークとなる。

これが実現化すれば夢のクラウド環境をいつでもどこでも味わえる時代が到来し、ハードディスクすら積んでいない端末などが現れ、
・ 端末の低価格化
・ DVDなどのディスクの廃止
・ クラウドサービスの繁栄
・ オペレータの繁栄
など、経済・産業の向きが変わることとなる。クラウド化のインパクトはかなり大きなものになるだろう。そして、その一翼を担うのがLTEなどの無線ネットワークとなる。その実現はもうすぐだ。

CSFB(Circuit Switched Fall Back)とSVLTE

前回CSFBとVoLTEと言うタイトルで記事を書いたが、多くの方からSVLTEはどういうもの?という質問をいただいた。

SVLTEはSVDOと同じ考え方で実現されるデータ通信と音声通信の同時通信であるが、主に3GPP2のテクノロジを採用している米国のベライゾン・ワイヤレスやスプリント・ネクステルで運用されているテクノロジだ。

まずSVDOに関してだが、これはSimultaneous Voice evDO dataの略でCDMA2000のネットワークで音声、EVDO(Evolution data only)のネットワークでデータ通信を同時に行う。端末にはそれぞれの2つの受信機をもつ。基本的にはCDMA2000のネットワークを最初に見てEVDOのネットワークにアクセスをするが、端末によってはEVDOのネットワークのみ見るものもでており、仕様がどんどん変化しているようだ。これに関しては申し訳ないが、他の情報源を調査していただけると有難い。

そして、SVLTEではSVDOのデータ通信網がLTEに代わったというものだ。CDMA2000で音声、LTEでデータ通信といった具合だ。既にSVLTEの端末はあり、HTCのサンダーボルトなども対応している。この端末ではCDMA2000とLTEを両方待ち受けしている。そのため消費電力やコストの問題もあり、本テクノロジに消極的なメーカも多い。SVLTEはいずれVoLTEのパケットスイッチによる音声通信に代わるので、この時期まで静観をしているメーカも多いと聞く。

いずれにせよ、CSFB・SVLTE・VoLTEなどを使い、データ通信が主となる時代も、音声通信は生き残り続ける。