2011年2月5日土曜日

KDDIのスマホ戦略を考える

2010年4月~12月の通信三社の連結決算がでそろったようだ。

ソフトバンクの一人勝ちで、KDDIの一人負け、と言える内容だ。マスコミ各社はスマートフォン戦略の乗り遅れが響いたと分析している。

ここでまずはKDDIの今後の予定を見てみたい。

KDDI(au)は、LTEのサービス開始を2012年に予定しており、その間をEVDO Rev.B 、スマートフォンをWiMAXで凌ぐ戦略を打ち出している。

これまで日本の通信業界が『ガラパゴス』と呼ばれ、なかなか世界市場に出れず冷や飯を食わされたことでわかるように、マイナーな技術を採用するのは得策ではない。

・ 魅力的な端末確保が困難
・ インフラ代が高価

などが伴うからだ。

Rev.BはRev.Aに比較的技術が似ており、アップグレードが容易であるが、Rev.Bを導入する世界のオペレータは3社と極めて少ない(http://www.cdg.org/resources/cdma_stats.asp)。

そして、以前の記事でも書いたが、世界のWiMAXベンダはTD-LTEへの移行を模索しておりWiMAXの市場供給自体縮小傾向なのだ。これに加えKDDIはWiMAX2という規格も導入することを検討している。

Rev.B、WiMAX路線は極めてリスキーとしか言えない。

しかもデータレートもそれほどは望めない。
- Rev.B → 14.7Mbps
- WiMAX → 40Mbps

一方他社の採用する技術では、
- DC-HSPA+ (ソフトバンク、イーモバイル) →42Mbps
- LTE(クロッシィ:docomo) →37.5Mbps
であり、これらは今後もスピードを向上させることができる。


しかし、これは理論上の話だ。

以下のような測定結果がある。

つまり、WiMAXは、契約数を伸ばしているがインフラも十分整備されているため、実際のデータレートが確保できてるようなのだ。一方他のキャリア(docomo、イーモバイル)は理論上速度の速いテクノロジを使っているが、インフラやスケジューリングの関係で、やはりスピードがまだでていないのだ。私もWiMAXとクロッシィを使った経験があるが、やはりWiMAXの方が快適であった。

これはかなり消費者にとって魅力的だ。

一見今後も劣勢なKDDIだが、彼らのスマートフォンにEVDO、WiMAX、無線LANがのれば音声、データ通信(高速移動時、スポット使用)が十分に確保でき、今後挽回できる潜在力が十二分ある、と言えるのではなかろうか(しかし帯域的にはEVDO、WiMAXの両方の周波数を使っているので、収益率がいいということにはならないが)。

Rev.Bにはどの程度設備投資がかかるか不明だが、とにかくマイナー技術に手をだすのはリスキーだ(もう既に遅いが・・・)。

その投資リソースがあるなら、魅力あるスマートフォンの開発、コンテンツインフラの整備、800MHz帯でのLTEサービスの充実に仕向けるべきだと考える。

もちろん、スピードだけが消費者の選定ファクタになるわけではないが、快適なネット接続環境は確実に一つの条件となっている。

つまり、Rev.B、WiMAXはマイナーテクノロジでリスキーだが、WiMAXがここまでインフラが整っていれば十分優位性になるということだ。

こうなると、LTEの存在が薄れる。現在KDDIグループは周波数を
2GHz 、帯域40MHz(CDMA 2000 1x、EVDO Rev.A)

800MHz、帯域30MHz (cdmaOne / CDMA 2000 1xいずれLTE移行?)
1.5GHz、帯域20MHz(LTE)

またUQコミュニケーションズの、
2.5GHz、30MHz帯域(WiMAX)
をもっており、

現状の
音声 → EVDO(cdmaOne / CDMA 2000 1x)
データ通信(移動時)  → WiMAX
データ通信(固定時)  → 無線LAN

ではいいコンビとなるが、LTEが入ると
・ LTE(15.GHz、800MHz)
・ CDMA 2000 1x、EVDO Rev.A(2GHz)
・ WiMAX(2.5GHz)
となり、LTEとWiMAXの役割が被ってしまうことになる。


そのため、ある程度LTEインフラが整ったら、
スマートフォンは、LTEでデータ通信をまかない、WiMAXはMVNOなどをしてJRや電力会社、
カーナビなど法人通信網として活用するのがよいと考える。

つまり、今後のKDDIのスマホ戦略(データ速度のみを考えた場合)として、
[LTE以前]
音声→ EVDO(音声通信で十分なのでRev.Bなど余分な設備投資をしない)
データ通信(移動時)→ WiMAX
データ通信(固定時)→ 無線LAN

[LTE開始後]
音声→ EVDO
データ通信(移動時)→ LTE
データ通信(固定時)→ 無線LAN

※ WiMAXは法人への通信インフラ提供

という形が最適かと考える。特に800MHz帯のLTEは他のキャリアとの差別化にもつながり、今後のKDDIの未来は上記戦略に従えば十分に明るいものだと考える(もちろんこれ以上いい考えをKDDIの従業員の皆様は考え付くであろうが・・・)。

最近何かと元気がないKDDIだが、是非とも今後の明るい日本のためにも応援していきたい。


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ソフトバンク最高益、スマホ出遅れKDDI減益

読売新聞 2月4日(金)18時3分配信

 通信大手3社の2010年4~12月期連結決算が4日、出そろった。ソフトバンクはスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)4」のヒットで、売上高、営業利益、税引き後利益とも過去最高を更新した。

 NTTも増収増益を確保したが、KDDIは減収減益だった。売れ筋のスマートフォン戦略の巧拙が明暗を分けた。

 ソフトバンクは主力の携帯電話事業で、新規契約から解約を差し引いた純増数が252万件に上り、1契約当たりの月間平均収入も唯一増加した。データ通信収入の伸び率は13%に達し、「アイフォーン効果」が顕著に現れた。NTTは、音声通話収入の減少は続いたが、NTTドコモやNTT東日本でデータ通信収入が増えた。一方、KDDIは、スマートフォンの投入の遅れが響き、音声通話収入の落ち込みをカバーできなかった。

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