主な規格としては、
・ IEEE802.11ad
・ WiGig
・ WirelessHD
・ ecma international
となるが、今回は802.11adとWiGigに関して、その標準化動向や技術内容に関して俯瞰していきたい。
各規格を見る前に、ミリ波の周波数の状況だが、日本でも、以前から特定小電力無線局として59~66GHzが割当てられていたのだが、これを2GHz分拡張し、57~66GHzが使用できるようになった。
こうすることにより、欧州などと歩調がとれ、協調運用が可能だ。これにより、デバイス開発などが容易になる。ミリ波伝送の周波数プランは、国際的に
チャネル1:中心周波数58.32GHz、帯域幅2160MHz
チャネル2:中心周波数60.48GHz、帯域幅2160MHz
チャネル3:中心周波数62.64GHz、帯域幅2160MHz
チャネル4:中心周波数64.80GHz、帯域幅2160MHz
となっており、日本は全て対応出来る形になっている。ちなみにヨーロッパでも全て、北米や韓国はチャネル1~3が対応可能、という形だ。
さて、話を規格の方に戻そう。
802.11adは先の記事でも示したが、11acのミリ波版とも言える方式だ。
http://lteltelte-lteworldsituation.blogspot.com/2011/10/ieee.html
もともと、802.15.3cで規格していたのもを一本化したものと言われているが、シングルキャリア方式とOFDM方式両方をもつ、ちょっと今までにない方式だ。概要とまとめると(あくまでも現時点でのドラフト5.0でのものだが)、
帯域: 2160MHz
シングルキャリアサンプリング周波数: 1760MHz
OFDMキャリアサンプリング周波数: 2640MHz
プリアンブルSync長: コントロールPHY38repetition、
他のMCSでは14repetitiion(Golaycodeを使用)
プリアンブルSFD(start Frame delimiter):コントロールMCSには、128長のGolayシーケンスを2つ、高レートMCSには128長Golayシーケンスを1つ。
プリアンブルCES(channel estimation sequence):128のガードインターバルに続く8つの128長のGolayシーケンス(シングルキャリアでも、OFDMでも同様)が2つ。
コントロールPHY(MCS-0):32 Golay 拡散、Pi/2 DBPSK 、短縮された LDPC コード
OFDM FFT サイズ:512
シングルキャリア変調:Pi/2 DBPSK、Pi/2 BPSK、Pi/2 QPSK、Pi/2 16QAM
OFDM変調:SQPSK、QPSK、16QAM、64 QAM
誤り訂正:リードソロモン 208/224、BC8/16、LDPC 1/2, 3/4, 5/8, 13/16
となる。
また、11adはミリ波なので、どうしても電波の遮蔽が厳しくなるが、これの解決策として11nなどの規格(6GHz未満)への高速ハンドオーバなども機能も有している。
次にWiGigに関してだが、WiGigにはWiGigアライアンスがあり、その業界標準化を虎視眈々と狙っている。WiFiアライアンスとの協業やWiGig仕様の一部IEEE802.15.3c仕様の踏襲、また11adの標準化に寄与するなど、ミリ波通信の業界標準に向けて準備万端といった形だ。
また、以下のような特徴も見られる。
・ データレート:OFDMで7Gbpsまで、シングルキャリアで4.6Gbpsまで。
・ ビームフォーミング技術の採用
・ マルチバンドオペレーション(2.4GHz帯、5GHz帯との協調運用)
・ 電力制御(2デバイス間で協調し、より低消費電力な形で動作)
・ 高度なセキュリティ機能AES(Advanced Encryption Security)の採用。Galois/Counter Modeの採用。
ミリ波デバイスが安価になってきたことで、このあたりの通信が一気に花開きそうだ。
60GHz帯は無許可で使用できる周波数帯でもあり、帯域が広いことから高スループットの伝送も容易である。最近は既に試作機もでてきている段階にあるが、これらの技術が商品化されたころには、まさにSFの世界のような、リッチコンテンツが楽しめる世の中になっていることだろう。
ストレージ機器、ディスプレイなどとともに、今後もミリ波通信が繰り広げる世界、に関しても継続してウォッチしていきたい。
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