KDDIのiPhone5の販売が判明した9月22日に、KDDIの株価は66万8千円の年初来最高値をつけ、その後低迷し9月30日には53万6千円と1ピークから0万円以上も下落した。確かにピークに達するまで上がり続けているため、情報がリークし判明とともに失速した、もしくは電池のリコールが相当響いた、などいろいろな解釈があるだろうが、さて実際にはiPhone5の参入はKDDIにさらには日本の携帯電話産業に何をもたらすのだろうか?(現段階ではiPhone5かiPhone4Sかどちらが不明だが、いずれにせよ、iPhoneをKDDIをだすインパクトは変わらないとして、考察を続ける)。少し時間を割いて考えてみたい。
実は同様の動きが米国で今年の初めにあった。ベライゾン・ワイヤレスのiPhone投入だ。アップル社のお膝元米国でも、最初はWCDMAのサービスをするAT&TでのみiPhoneは投入されていたが、今年初めCDMA2000系のサービスを行うベライゾン・ワイヤレスにも投入された。そして、米国第三番目のキャリア会社スプリントネクストテルでも投入される予定だ。
この時点で、同様のサービスを行うKDDIでも、リリースされるのでは?と噂された。つまり、今回の判明は関係者にはそれほどインパクトはなく、ある程度やっぱりかというものだ。アップルの成長の飽和を考えると、至極自然な流れだ。
では、業界関係者ではない消費者にとってのインパクトはどの程度あるのだろうか?今後iPhoneがKDDIからでたことで飛びつくと思われるユーザを、
① ドコモユーザ
② KDDIユーザ
③ ソフトバンク
④ イー・アクセス(イーモバイル)ユーザ
に分類し、以下考察してみたい。
① ドコモユーザ
そもそもKDDIのiPhoneを購入する動機は、
・ iPhoneが好き
・ KDDIが好き
のどちらかである。
ドコモユーザでiPhoneがどうしても欲しい、というユーザは既にソフトバンクへ移るか、日本通信のSIMで使用しているかどちらかであろう。つまり「iPhoneが好き」という動機で、KDDIのiPhoneを購入するドコモユーザはいなさそうだ。
「KDDIが好き」というユーザも既にKDDIに移行しているだろう。
② KDDIユーザ
やはり、「iPhoneが好き」というユーザは既にソフトバンクなどに移っていただろう。現在KDDIユーザで折角KDDIからiPhoneがでるのだから使ってみようかな・・・という消極的購買者は確かに存在するだろう。
③ ソフトバンクユーザ
現在ソフトバンクでiPhoneを使用していてネットワークの質などに不満のあるユーザはKDDIのiPhoneを購入する可能性はある。ただ、ソフトバンクユーザは比較的価格弾力性に敏感な若い層であり、現在のソフトバンク同士通話無料などの魅力的なサービスや、iPhone解約時の9975円が気になってなかなか解約できないだろう。
その上、あの孫さんのことだ、KDDIへユーザが流れる策を、近々打ってくるに違いない。
また、ウィルコムユーザはiPhone、スマートフォンには基本的に興味を示さないのは自明であろう。
④ イー・アクセスユーザ
ここのユーザはデータ通信のヘビーユーザが多い。iPhoneのリリースはあまり関係ないと考えがちだが、iPhone5はテザリングができる可能性が濃厚だ。そうした場合、iPhoneに買い換えることはありえるだろう。しかも、ソフトバンクではなく、ネットワークの安定したKDDIに、という形だ。しかし、テザリングだけに興味があるなら、他の端末でもOKということになるので、やはり、iPhoneが好きでテザリング機能も使用したい、という2つの条件がそろったユーザが移行することになり、その数は微小である、と考える。
総じて考えると、
・ 現在KDDIのユーザでiPhoneに少し興味のあるユーザ
・ ソフトバンクiPhoneユーザでソフトバンクのネットワークに不満があり、解約金、他の特典を差し置いてまで、KDDIに変更したい、というユーザ
・ 現在イー・アクセスユーザでヘビーデータ通信ユーザでiPhoneに興味があるユーザ
となる。いずれも、その数は微小であり、あまりKDDIがiPhoneをリリースするインパクトはない(もちろん話題性はあるが・・・)と結論づけることができる。
アップルは厳しい条件をキャリア会社に押し付ける、と言われる。KDDIがiPhoneを過大評価しすぎて(アップルの成長を考えれば自然の流れだったので)、厳しい契約を交わしていないことを、日本人として祈るところだ。
※ あくまでも、個人的な見解・考察です。
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